第1章 美少女
残されたしのぶとカナエは話していた。
胡:「なんであの子全然自分の意見を言わないの?私と不死川さんが何か言うと、すぐ嘘ですって言うし。」
カ:「多分何か口を開くたび、お父様に殴られていたんだと思うわよ。だから、相手が望むことしか口にしちゃいけないと思って、私たちにもそうしようとしたのよ。可哀想だわ。」
胡:「確かに可哀想だけど、自分を思ってくれてた姉も殺した鬼を命の恩人だなんて。」
カ:「人の優しさを感じ取れるほどの余裕がなかったのよ。きっと毎日生きるのに必死だったんだわ。そんなに眉間に皺を寄せないで。姉さんはしのぶの笑った顔が好きだなー。」
2人がそんなことを話している頃、不死川とは不死川の屋敷へと歩いていた。
不:「お前、一体親父さんにどんな仕打ちを受けてたんだァ。」
:「私たちが悪いことをすると、お仕置きとしてあの部屋で裸になって磔にされて鞭でたたかれたり、絵師を呼んで春画を描かせたりしてました。」
不:「春画だとォ!?」
:「はい。私たちだけの絵の時もあれば、どっかから連れてこられた男の人とまぐわってる絵もありました。家にその絵はなかったので、どこかに売っていたんでしょう。」
不:「…ひでぇな…辛かったろォ?」
:「いいえ?とうの昔にそんな感情置いてきてしまいました。生きるために仕方ないと思ってましたから、何とも思わなかったです。」
不:「そうかよォ…。」
不死川はずっと自分の父親は最低だと思っていた。
だがこのとき、の父親は自分の父親より酷いと思った。
不:「お前、名前はなんていうんだァ?」
:「彩色です。」
不:「彩色といえば豪商じゃねぇかァ。金持ちにはそれなりの闇があったってことだなァ。」
:「私は何とお呼びすればいいですか?」
不:「俺は不死川実弥だァ。好きなように呼べェ。」
:「…」
不:「…はぁ。他の奴らは不死川って呼ぶぞォ。」.
:「分かりました。不死川さんとお呼びします。」