第1章 メイドさん東方司令部に行く
アメストリス軍東方司令部
ここを治めるグラマンの部屋にノック音が響く。
貴女「お仕事中失礼いたします。ララ・アージェントです。」
グラ「ああ、入りなさい。」
緊張しながらも部屋に入る。
「お初にお目にかかります。今日から東方司令部に勤めさせていただきます、ララ・アージェントです。よろしくお願いいたします!」
グラ「ご丁寧にどうも。改めて東方司令部のグラマンだ。人手が増えて嬉しいよ。」
貴女「存じ上げています。私がお役に立てるかどうかわかりませんが、全力でお仕事させていただきます!」
つい数ヶ月に自分に声をかけた人しかも軍の中将を忘れるはずがない。
グラ「まあ、そう畏まらないで。私が無理を言って引き抜いたんだ、来てくれて感謝しているよ。」
貴女「そんな、もったいないお言葉です…。この国最大の都市がある東方司令部に勤めることができて嬉しいですから!」
そう笑顔で答える。
ついこの前まで極寒の地ブリッグズに勤めていた身からすれば東方は温暖で過ごしやすい。
街は賑やかでブリッグズのふもとの町よりも規模が大きく探検が楽しみなのは事実だ。
故郷と2年間一緒に過ごしたブリッグズ要塞のみんなや両親となかなか会えなくなるのは寂しいが…。
グラ「そう言ってくれると嬉しいよ。ところでアームストロング少将はなんと言っていた?君を引き抜く時に1番渋ったのはあいつだからなぁ。」
グラマン中将が私に東方司令部勤務を提案した時、アームストロング少将は引き留めはしなかったが残る気は無いのか何度か聞かれた。それは彼女が私の「大きな都市で働いてみたい」という本来の目的を知っていたから。
貴女「特には…。故郷が恋しくなったらいつでも帰ってこいとだけ言われました。」
ブリッグズを発つ時に珍しく見送ってくれた少将を思い出すと少し寂しい気持ちがでてくる。
グラ「まあ、この辺は中央までとはいかなくとも栄えているし君も退屈はしないだろう。ブリッグズへの恋しさなぞすぐ忘れるさ。ハッハッハ」
そう言って笑う中将は私の目的を見透かしていたようで、少将の言う通り狸ジジイというにふさわしい性格をしている。
貴女「そう言うものなのでしょうか…。」
なんと返したら良いか分からず口籠もってしまう
グラ「時にアージェント君…
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