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流星の絆

第2章 第二章 未完成な音色



詩に書いたフレーズは万理を匂わせるもが多かった。

だから解る人が見ればバレる。

だからって!

「空に焦がれて貴方を思う」

「わぁぁぁ!やめてぇぇ!」

歌詞を読む万理に私は悲鳴を上げる。

「世界で一番好きな人…」

「だから違う!今すぐ捨てて!」

万理から奪おうとするも、身長の差が憎らしい。

「お願いだから捨てて…こんなの」

「捨てたくない。俺の気持ちまで無かったことにしないで」

「どうして」

何で万理が泣きそうな顔をするの?
やめてよ。

泣きたいのは私の方だわ。
こんな形で私の気持ちがバレるなんて無様だわ。

「うっ…うぇ」

「何で泣くんだよ」

「泣かしているのは万だもん」

誰の所為だと思っているの?

なのにどうして。

「何で笑うの!」

「やっと俺を見てくれた」

「え?」

私の手を握りながら万理は笑った。

「やっと感情を出してくれた。やっと俺の名前を呼んでくれた」

優しく微笑む笑顔は焦がれた空の色。

私が一番好きな笑顔だった。

「正直に言って、俺のこと好き?」

「…好き」

消えそうな声だったけどハッキリ言ってしまった。

既にバレているなら黙ってても仕方ない。


「俺も好きだよ詩」

静かに耳打ちする万理の声。
低く穏やか声に私の力が抜けそうになる。

「何で…」

「ずっと好きだった。忘れたことはなかった」

震える私の手を握りながら肩を抱きながら囁く。

「でも、男としてまったく意識されていないと思ってたし」

「最初っから私万のこと好きだったよ…詩を書いて欲しいって言われた時も」

「それね?詩の愛情表現は解りにくい」

そんなことを言われてもどうしたらいいか解らないし。


「けど、俺の事大好きだったんだな」

「ひゃっ!」

笑みを浮かべながら私の手にキスをする表情は妖艶だった。

「あっ…あう」

「もう一回キスしていい?彼氏として」

ドクンと胸が高鳴る。
冗談じゃなくて本気で言っているのが解る。

「すっ…捨てない?」

「捨てるわけないだろ」

「じゃあ、お願いします」

本当はまだ怖い。
傷つけられるのは慣れているけど、傷つけてしまわないか不安が過るのに、万理は大丈夫だと言ってくれるようで私は。

万理の手を取った。

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