第1章 呼吸
約束通り次の日から稽古が始まった。
義勇と錆兎と体力作りをしていた星波は、全集中常中を元々できるということもあり、みるみるうちに力を付けていく。
生まれつき常中ができていたことにも驚くが、この成長速度は素晴らしい。
これなら5年後安心して送り出せそうだと鱗滝は少し安心した。
4年間は基礎的な体力作りを中心に行い、全集中常中による治癒力の向上なども学んだ。
しかし、14歳になり背が伸びて体つきもだいぶしっかりしてきた頃、鱗滝の得意とする水の呼吸を教え始めてから雲行きが怪しくなり始める。
筋力、呼吸、集中力、どれをとっても申し分ない星波だが、なぜか水の呼吸を使うと刀の周りの水はとても薄く、周りにきらきらと光を纏ったようになる。
「水の薄さは気になるところだが威力は十分。最終選別は問題なく通過できるだろう。だがこのままでは強い鬼は倒せん。これは憶測だが星波は水の呼吸以外の適性があるのかもしれない。最終選別後に刀の色を見た方が良いだろう。」
星波は鱗滝や義勇や錆兎と同じ水の呼吸を使いたいと思っていたので残念に思ったが、来年の最終選別に向けて、少しでも水の呼吸の精度を上げようと日々の稽古を今以上に頑張ることにした。