第16章 道
実弥side
「道場を使って剣道の稽古を、近隣の住人を集めて始めるというのはどうだろうか。実弥、一緒にやってくれないか?」
一瞬驚いたが、体を動かしたいと思っていた実弥は大賛成だ。
「いいなァ!しかし俺らの稽古に付いてこられるやつがいるかァ?」
「もう鬼はいない。一般人向けのものだ、そこまで厳しくしなくてもいいだろう」
「そうだった…でも杏寿郎ォお前それで満足できるのかァ?」
くくっと笑う実弥。
「それは実弥もだろう。物足りなさを感じたら俺たちで手合わせをしよう」
ははっと笑う杏寿郎。
「対象年齢は子どもからにしようと思っている」
「子どもォ?」
「子どもたちには礼儀や姿勢、道具の扱い方や竹刀の持ち方などを中心に教えていく。あとは…子どもを対象にすれば付き添いの母親が来るだろう。同じ年頃の子どもを持つ母親同士、星波と友人になれる人もいるかもしれないしな!」