第15章 誕生日
「風弥、ご迷惑お掛けしませんでしたか?」
「迷惑なんて全くないぞ!かわいくてかわいくて仕方がなかった!」
杏寿郎は風弥に顔を近づけるとすぅっと匂いを嗅ぐ。
「赤子の匂いは癖になる…本当にいい匂いだ…はぁ…かわいい…」
まるで父親のように風弥をかわいがる姿を見て思わず星波が口を開く。
「杏寿郎さんのお子さんも絶対かわいいと思いますっ!んーっ!小さい杏寿郎さんっ…想像しただけでもかわいい…見てみたいなぁっっ」
杏寿郎は目を見開いて固まり、実弥はそっと杏寿郎の様子を見る。
(星波ィ…お前は本当に残酷だぜェ…)
「子か…そうだな、いいかもしれないな…」
(好きになれる女性や、子が産まれたら、この気持ちはいつかなくなるのだろうか)