第15章 誕生日
「どうする?」
「うぅ~…お、お願いしますっ…」
星波がゆっくりと近づくと、ふわっと体が浮く。
「うっ重いィ…」
「酷いーーっ!降ろしてくださいぃっっ」
ポカポカと背中を叩き星波が暴れる。
「冗談だァ。全然重くない。それにもし風弥を腹に宿して体重が増えたなら、それはお前が頑張った証だァ。なんも悪いことはねェだろォ。風弥を産んでくれてありがとなァ。前よりここも大きくなって俺は大歓迎だぜェ」
実弥が星波の胸に顔を近づける。
「甘い匂いがするなァ」
「ちょっと!やめて実弥さんっえっち!変態!」
にやっと笑い、土産落とすなよォと言うと実弥は走り始める。
疾風のごとく駆け抜けていく実弥にしっかりと掴まり、流れていく景色を見送った。