第11章 明けた朝
産後20日を過ぎ、少しずつ星波は家事を再開し始める。
「よし、洗濯物を…」
「いい!いい!星波さんは座ってなさい!」
「ではご飯の支度を…」
「だめです!俺がやってきます!」
「では掃除…」
「星波!こっちに来い!」
杏寿郎に呼ばれ縁側に行くと、座布団が用意されている。
促されちょこんと座ると、膝に風弥とひざ掛け、星波の肩に羽織…星波はあっという間にぐるぐる巻きにされてしまう。
「あのぅ…これでは家事が…」
「星波はまだ家事などしなくて良い!風弥が寝ている時はゆっくり一緒に身体を休めろ!今星波がすべきなのは家事ではなく休息だ!」
「そうですよ!産後に無理をしてはいけません!お茶とお菓子を置いておきますね!」
槇寿郎、杏寿郎、千寿郎に大事に大事にされ過ぎて、まるで自分が赤子になってしまったのではないかと思うほどの至れり尽くせりの毎日に、星波は本当に感謝していた。
30日を過ぎると体調はほぼ万全になっていたが、何せ家では家事をやらせてもらえないので、風弥を連れて家の近くを散歩するのが日課になった。