第11章 明けた朝
しばらくの間は、慣れない赤子の世話に戸惑いながら必死に毎日を過ごしていた星波だったが、生後7日を過ぎた頃、だいぶ世話にも慣れ落ち着きを取り戻してきていた。
「ようやく覚悟ができました。あの日のことを、教えてください…」
何となくみんなが話さないようにしているのがわかり、今まで聞いてこなかった星波だったが、意を決して尋ねた。
杏寿郎は、重い口を開き語り始めた。
柱であるしのぶ、時透、甘露寺、伊黒、悲鳴嶼…玄弥の戦いと、結末を。
星波は静かに涙を流した。
(玄弥くん…風弥の誕生を心待ちにしていてくれたのに…会わせてあげることができなかった…ごめんね…)
「みなさん、責務を全うされたのですね…」
「うむ、そうだな。皆立派な戦いだったと聞いた。」
しばらく悩み落ち込んだ様子の星波だったが、子を産んだ母は強い。
風弥のために早く元気にならないといけませんね、と言い明るく笑って見せた。