第9章 柱稽古
「む…むかっ迎えに来てくれてっありがと…ございまっ…」
「星波、泣いていい。我慢するな。」
「うぅ…ぐすっ…ふぅ…ううっ…うあぁっ……」
何も言わずに星波の言葉を待つ杏寿郎。
「突き放してくれたらいいのにっ。何も言わずに離れた私のことなんてっ…乱暴に扱ってくれればいいのにっ。嫌いだって言ってくれればいいのにっ」
「優しいんです…。私を見る目も、言葉も…触れる手も全部…」
「戦いに行かないでって、痣を出さないでってどうしても思ってしまうっ…」
ピタと足を止め星波を見る杏寿郎。
「…でも星波は言わなかった。それで十分だ。よく頑張ったな。腹の子に障る…もう泣くな。家に帰ろう。」
そう言うと、杏寿郎は再びゆっくりと歩き始めた。