第1章 呼吸
「よくやったなァ!やっぱり技にはキレがあって少しの隙もねェ。適正じゃなくてもこんなに精度をあげられるって、お前すご……」
「黙ってくださいっっ!」
「っっ!?」
突然星波が大きな声で叫んだので驚く不死川。
「稀血だからって、こんなことしないでくださいっ!不死川さんはお強いのに、なんでこんなに傷が多いのかずっと疑問だったんです!こういうことだったんですねっ!?それに今日は私のせい…こんなこと…こんなっ…ことっ……したらっダメ…ですっっ!」
怒っていたかと思ったらわんわんと泣き始める星波。
「ちゃんと手当てさせてくださいいぃ…」
「わ、わかった…わかったから!泣くなよォ!」
ぽろぽろと涙を流して泣く星波にオロオロしながら左腕を差し出すと、星波は蝶屋敷で教わった治療法で傷口の手当をしていく。
「うっ、ひっ…もうっ!…ぐすっっ、で、できましたっ…」
「怒るか泣くか手当するかどれかにしろよォ」
呆れて笑いながら言う不死川をキッと睨みつける星波。
「自分を大切にしてくださいっっ!」
「はいはい、星波サンに怒られちゃうんでこれからは極力控えまァす」
「やめる気ないでしょうっ!?もう、帰りますよっ!」
ぷりぷり怒り先を歩いていく星波の後ろ姿を、不死川は優しい目で見つめていた。