第1章 呼吸
「よし、ついて来い」
2人で夜の街を警戒しながら歩いていく。
しかし、歩いても歩いても鬼に遭遇することはなかった。
2日、3日、4日…近くの山に入ってみたりもしたが全く遭遇せず。
5日目も山に来ていた。
「鬼、いませんねぇ。平和なのはいいことですが…」
(チッ星波の前ではやりたくなかったが…しょうがねェ)
不死川が突然日輪刀を引き抜くと、左腕をザシュッと斬りつけた。
「え!?不死川さんっ!?何してるんですか!」
「俺は稀血だァ。これで鬼が出てくるぜェ!」
「不死川さん手当をっっ」
ガサガサッ
「手当なんていらねェ!ほら早速来たぞ、行け星波ィ!」
不死川の傷は心配だが、せっかく不死川が呼び寄せた鬼を逃すわけにはいかない。
星波は、くっと唇を噛み締め鬼に向かっていく。
「3体もいる…よし。水の呼吸拾ノ型 生生流転!」
刀を回転させながら次々に鬼の頸に斬撃を繰り出していく。
刀の周りの龍に見える水は薄いが、真っ暗な山の中で光を纏い煌めく龍はとても綺麗だった。