第9章 柱稽古
薬の補充は終わったが、次々と星波の元に手当をしに来る隊士が後を絶たなかったため、帰るタイミングを逃した星波は忙しく廊下を行き来していた。
廊下の向こうから不死川が歩いてきたので会釈をする星波。
「手伝わせちまって悪ィなァ。」
声を掛けてもらえると思っていなかった星波は思わず振り返り、星波を通り過ぎていく不死川の背中を見ていると、玄弥が横から来て不死川に声を掛ける。
「兄貴!」
不死川は止まらずに進んでいく。
「待ってくれよ兄貴!話したいことがあるんだ…」
「しつけぇんだよ、俺には弟なんていねェ。いい加減にしねぇと、ぶち殺すぞォ」
(そう言えば、前にも聞いた時に教えてくれなかったけど、2人の間に何があったんだろう…)
その場を動けず見守る星波。
「馴れ馴れしく話かけてんじゃアねぇぞ。それからテメェは見た所何の才能もねぇから鬼殺隊辞めろォ。呼吸も使えないような奴が剣士を名乗ってんじゃねぇ」
「……そんな…」
くるっ
再び歩き出す不死川。
「ま…待ってくれよ兄貴、ずっと俺は兄貴に謝りたくて…」
「心底どうでもいいわ、失せろォ」
(兄弟喧嘩が原因…?)