第9章 柱稽古
しばらくすると槇寿郎が粥を持ってやってきた。
「消化の良いものを持ってきた。食べられそうか?」
槇寿郎が星波の近くに皿を近づけると、米の匂いで再び嘔吐く星波。
「もしかして…」
さすが2人の父親の槇寿郎。
星波の体調不良の原因をすぐに見抜いた。
「杏寿郎の…か?」
星波は静かに小さく首を振った。
「そうか。」
ポツリと残念そうに槇寿郎が呟く。
「安心しろ、ここはもう君の実家のようなものだ。女手がないのは申し訳ないが、男手なら有り余るほどあるからな。ここで元気な子を産め。」
狭霧山よりは安全だろうと言い、優しく微笑む槇寿郎に涙が溢れる。