第1章 呼吸
「どうしたァ!避ける練習じゃねぇぞォ!」
「くっっ」
どうにか打ち込もうとした瞬間、容赦ない一撃が星波に当たる。
痛みを堪えながら立ち上がり向かっていくが、尽く返り討ちに合いぼろぼろの星波は、結局一度も打ち込めないままその日の稽古は終わりを迎えた。
「湯浴みでもして来い。」
不死川に案内され、とぼとぼと風呂場に向かう。
湯につかると我慢していたものがぽろぽろと溢れ出す。
「ふ、ふぅう…うっ…」
悔しい、悔しい、痛い。怖い。
不死川の見た目も口調もとにかく怖い。
ひと月もやって行けるのか自信がなくなる。
でも錆兎…私頑張るからね。
星波は声を押し殺して泣いたが、錆兎を思いぐっと気合いを入れ直した。
手ぬぐいを置きに来た不死川は星波の泣き声に気づき、初日から厳しくしすぎたかァ!?と内心焦りつつ、そっとその場を離れた。