第4章 無限列車
「星波…星波……継国星波。」
この名を呼ぶ者は他にはいない。
ハッと夢の中で目を覚ました星波が辺りを見回すと、薄らと透けた上弦の壱が浮かび上がっていた。
「気配を消して来ているため、実体はない…説明するからよく聞くといい…お前は今下弦の壱の血鬼術の中にいる。こんなところで死ぬな…私は…あの日末裔を全て殺してしまったと思った。…後悔したのだ。お前が生きていてくれて良かった…鬼となった私がいうのも可笑しな話だが…生きてくれ。下弦の壱はここで死ぬだろう…戦いが終わるまで寝ていろ。」
「上弦の壱…。」
「上弦の壱ではない。厳勝と呼んでくれぬか…?」
「厳勝…様…。」
まさか自分が鬼と慣れ親しむ日が来るなど想像していなかった星波だが、厳勝の星波に対する眼差し、声色は惜しげも無く子を慈しむ父親のようだった。
自然と様を付けてしまった自分に驚く星波。
「私はもうそろそろ行く。」