第1章 呼吸
「濃藍…金箔のような輝きも…?」
「星波さんの瞳と同じですね。とても綺麗です。素敵です。美しい。しかしこの色は初めて見ました。聞いたところによると星波さんは、水の呼吸の適性について悩まれているとか。」
青になるのことを祈っていた星波は、複雑な表情で鱗滝と義勇の顔を見る。
鱗滝はついにこの時が来てしまったか…と重い口を開く。
「星波、儂は今まで儂の得意とする水の呼吸を教えてきた。だが実力がついても水は一向に濃くならず、日輪刀の色を見てやはり星波には他の呼吸の適性があるとみた。儂も濃藍は初めて見るから判断しかねる。一度、お館様に相談に行きたいと思う。」
「わかった。」
しょんぼりとした星波は静かに応える。
「では、私はこれで失礼します。」
鉄穴森が立ち上がると星波は見送りのため立ち上がる。
「鉄穴森さんっ!素敵な刀をありがとうございました。先程は嫌な態度をしてしまいすみません。私の瞳と同じ色の刀…大切にします。」
「いいえ、いいのですよ。想像とは違う色に変わり戸惑うのは当然です。」
鉄穴森の優しい言葉に安心した星波は、深々と頭を下げ姿が見えなくなるまで見送った。