第53章 恐怖を讃えるコラール【渋谷事変】
「与、状況は?」
家入が尋ねると、与は「あぁ」と頷いた。
「メカ丸1号は二級三級の術師と連携して、改造人間や呪霊を減らしている」
与の説明では、途中で狗巻と合流したらしい。一般人を誘導して区画ごとに一ヵ所に固め、術師と医療スタッフを護衛につけてあるとのこと。
「渋谷駅周辺は狗巻の活躍で、俺が合流したときには改造人間も呪霊もほとんど全滅していた。メカ丸1号はこのまま狗巻と一般人救出に動く。メカ丸2号と3号は灰原準一級術師と神ノ原 星良準一級術師に合流。折り紙も渡した。それと、メカ丸3号は今 負傷者を連れてこちらに向かっている」
与の報告に「そうか」と短く返し、家入はタバコの煙をゆっくりと吐き出す。
「状況を好転させるには、やはり五条 悟の封印を解くしかないだろう」
重苦しく語る与に、夜蛾が「あぁ」とスマホを見た。
「そろそろ到着する頃だ。悟の懐刀が二本、な」
夜蛾の遠回しな表現を察し、首を傾げる与を余所に家入は小さく笑う。
「ずいぶんと重役出勤ですね」
「アイツらも、色々と抱えているからな。忙しいんだろ」
夜蛾と笑いながら、欄干の手すりにタバコを押しつけ、家入はタバコの火をもみ消した。
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