第6章 アニマートに色づく日常【鉄骨娘/始まり】
「詞織、TDLに行きたいか?」
「なんで?」
「アイツらが行きたがってるから、オマエも行きたいのかと思って」
ふーん、と気のない返事をして、詞織は一度 虎杖たちへ目を向けた。
「特別行きたいとは思ってないけど……メグが連れて行ってくれるなら、どこでも行く。TDLでも中華街でも、近くのデパートでも。メグが一緒なら、"絶対"楽しいから」
う……なんだ、その殺し文句は。
あまり期待させるようなことをするなと、昨日言ったばかりだというのに、全然学習していないではないか。
黙った自分に小首を傾げる詞織から逃れるようにして、伏黒は片手で顔を隠した。
今度どこかに誘おう。
TDLも中華街も連れて行ってはやれないし、出かけたとしても面白い話をしてやれるわけではないが。
それでも、一緒にいて楽しいと思ってくれる、詞織のために。
「……見んな」
「え? ……え?」
六本木にはしゃぐ虎杖たちを遠くに感じながら、伏黒はこちらをジッと見てくる詞織の夜色の目を隠した。
* * *