• テキストサイズ

夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第2章 神ノ原の惨劇


「すぐに始めろ。……どうせなら、呪力の強い詩音が生き残った方が、神ノ原一門のためにもなるのだがな。今は禪院、五条、賀茂の御三家が呪術界でも強い権力を持っている。我ら神ノ原一門の実力とて及ばぬわけではないというのに。だが、星也様とお前の力があれば、神ノ原一門も肩を並べることができるだろう」

「詞織をころせるわけないじゃない! ころしてやる! 詞織のかわりにオマエを! ころしてやる! ころしてやる! ころしてやる! オマエも! オマエたちも! このセカイを! 詞織以外! みんなみんなきえてしまえ‼︎」

 少女の言葉も虚しく。男は立ち上がって背を向けた。

「星也様。当主としての初仕事でございます。あの二人の戦いを見届けて下さい」

「けど……」

 まるで、自分が死を宣告されたような、今にも泣き出しそうな表情で、まだ幼い少年は唇を引き結ぶ。

「辛いお気持ちはお察ししますが、これは代々神ノ原一門で繰り返されてきたこと。あの二人だけが特別なわけではございません。先代も同じです。むしろ、先代が先延ばしにした結果が"これ"でございます。本来であれば、生まれた瞬間に片割れは殺す決まり。それを、先代の情けで今日まで生かしてやったのです」

「生かしてやったって……」

 星也と同じ面差しを持つ少女――星良が絶句する。
 自分の家の因習に、詩音は怒りから拳を震わせた。
 夜を思わせる二対の瞳が、二人の少女に向けられる。
/ 381ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp