第2章 神ノ原の惨劇
「……どうして……?」
同じ日、同じ時間、同じ瞬間に生まれた、同じ顔の少女は、綺麗な相貌を歪め、血を吐くようにして言葉を紡いだ。
冷たい檻に細い指を絡ませ、ギリッと奥歯を噛み締める。
「どうして? 双子のなにがいけないの? あたしたちの、なにがゆるされないの⁉ ソイツらだって双子じゃない! あたしたちとおなじじゃない! それなのに……!」
五歳の誕生日。めでたい祝いの日のはずなのに、少女たちに告げられたのは――最終宣告だった。
指を差されたのは、十歳前後の幼い男女の双子。
二人は痛ましげな表情で顔を伏せる。
先日、双子たちの当主である父が呪霊との戦いで命を散らした話は聞いていた。
父がいたからこそ、少女たち双子は命を長らえていたのだ。
「星也様と星良様はお前たち双子とは違う。このお二人は二卵性だ。一つを分けて生まれてきたお前たちとは違う。お前たちは不完全だ。そして、不完全さを完全にするには、片割れを殺し、己の持って生まれるはずだった力を取り戻さねばならない」
同じ父、同じ母から生まれたはずなのに、兄姉たちのことは敬称をつけて呼ぶのに、自分たちのことは「お前」と呼ぶ。
そのことが癇に触ったらしく、少女はますます怒りを表した。