第49章 スビト・フォルテな衝撃【渋谷事変】
『……違うって言ったのは【呪い】の在り方で、復活案自体はアリだと思ってるよ。漏瑚と争う気もない』
――だから、ゲームをしようよ。
ニヤリと、どこまでも楽しそうに、真人は手を広げた。
『俺が先に虎杖に遭遇したらヤツを殺す。漏瑚が先なら、指を差し出して宿儺に力を戻せばいい』
「俺が先なら俺が殺す。いいな?」
『おっ、脹相も参加する? もちろん いいよ』
割って入ってきた脹相に、漏瑚が『おい!』と声を上げる。けれど、それに構わず、真人はこちらに視線を向けた。
『夏油はどちらかと言えば漏瑚派だろ? どうする?』
「私は【獄門疆】を見ていないといけない。遠慮させてもらうよ」
本心を探るような真人の視線。本気で虎杖の命――いや、彼の場合ならあえて“魂”と表現するべきか――を取りに行くつもりなのだろう。
「好きにするといい」
自分にとって宿儺は、【獄門疆】が失敗したときの代案に過ぎないのだから。
漏瑚の言った通り、宿儺は味方ではない。
こちらにとって最強の切札であるのと同時に、最悪のカードにもなる。
『馬鹿馬鹿しい術師たちは、虎杖も含め 皆が五条を助けに地下五階に向かってくる。ならば ここで待てばいい。ゲームにならん』
『よーい、ドン‼』
漏瑚の言葉を聞かず、真人の掛け声に脹相や陀艮が地上に上がるべく階段を上がって行った。それに煽られたのか、『待たんか!』と漏瑚も追いかけて行く。