第49章 スビト・フォルテな衝撃【渋谷事変】
『やっぱ 俺も虎杖 殺したいかな』
突然 真人もパッと明るい声を出す。
『真人! 何を⁉』
喚く漏瑚に、真人はあっけらかんとした態度とは裏腹に、極めて冷静に返した。
『五条 悟の実態を見た感じさぁ、五条を封印した今、術師と呪霊は±0(イーブン)。宿儺が復活すれば超優勢。ほぼ勝ちってことでしょ?』
「まぁ、そうだろうね」
『じゃあさ、今の戦力でも勝つときは勝つってことじゃん』
だったら、と真人はニヤリと歪んだ笑みを見せる。
『虎杖、殺しちゃお。大丈夫。宿儺なんていなくたって、俺たちなら勝てるさ』
『……本気か?』
『本気と書いて大マジさ』
――『一〇〇年後の荒野で笑うのは、儂である必要はない。呪霊が人として立っていれば、それでいい』
そう語っていた漏瑚を思い出した。
宿儺という爆弾を使って目的が達成されても、あの【呪いの王】によって自分たちは全滅するかもしれない。
それでも、呪霊としての矜持が強い漏瑚は、呪霊の未来が切り開けるなら構わないと言い切った。
自信に満ち溢れた真人に漏瑚は黙り込む。
『……宿儺は味方ではない。復活したことで儂らが負うリスクの方が多いかもしれん。だが、宿儺が復活すれば確実に呪霊の時代が来る。儂らは今の人間どもとは違うのだ』
死すら恐れず、目的のために裏表のない道を歩む。それが偽物どもにはない、【呪い】の真髄。
そう語る漏瑚に、真人が『違うっしょ』と笑った。
『軸がブレようと 一貫性がなかろうと、偽りなく欲求の赴くままに行動する。それが俺たち【呪い】だ』
見解の相違か……これはこれで、見ていて面白いな。
夏油が成り行きを見守っていると、『あぁ』と真人が一つ頷く。