第49章 スビト・フォルテな衝撃【渋谷事変】
――21:26
東京メトロ 渋谷駅
地下五階 副都心線ホーム
封印した五条 悟の情報を【獄門疆】が処理しきれていない……これではしばらくここから動かせない。
そんなことを考えていると、不意に視線を感じる。
真っ先に真人が動いた。長く伸ばされた左腕がホームの天井に突き刺さり、機械のような破片がパラ…と落ちる。
「……やられたね」
覗かれていた。一瞬 見えたが、あれはメカ丸――与 幸吉の傀儡。
『アイツ、生きてんの? 死んだと思ったんだけどなぁ』
「高専側には優秀な【反転術式】の使い手がいるからね」
だが、家入 硝子が外へ出ての任務を受けることはほとんどない。
それに、与 幸吉は腕や足が吹き飛び、改造人間には至らなかったものの、【無為転変】の影響も受けていた。
死を待つしかないほど瀕死で、【反転術式】でどうこうできる状態ではなかったはずだ。だから放っておいたのだ。
それをどうやって……いや、今 考えることではないか。
『あ~ぁ。バレたね、こっちの状況。術師が総力 挙げてここに来るよ?』
「私はここに残るけど、皆はどうする?」
夏油はその場にいる真人、漏瑚、脹相、ホームに一緒に下りてきた陀艮を見た。
「俺は弟の仇――虎杖 悠仁、神ノ原 詞織、釘崎 野薔薇、吉野 順平……この四人を殺す」
真っ先に口を開いたのは脹相だ。
「その後、高専に保管されている他の弟たちを回収する」
『おい、虎杖は駄目だ。宿儺にする。他の三人は好きにしろ』
漏瑚に諫められるも、脹相は「関係ない」と切り捨てる。
『あぁん? やんのか?』
『漏瑚、落ち着いて』
真人に宥められるも、漏瑚の気が鎮まるはずもなく。いつ脹相に襲いかかってもおかしくないピリピリとした空気だ。