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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第48章 混乱極まるラプソディ【渋谷事変】


『さてはオッ、オマエ、賢くないナ……⁉︎ 俺が何の【呪い】カ分かってないダロ』

 この世界は賢くなければ生き残れない。

 そして、自分は賢い側の呪霊だ。


 ――「……バッタの【呪い】だろ?」


 そう、平然とじゅ、じゅじゅ……呪術師は言ってのけた。


 ――コイツ、賢いゾ!


『蝗害』――バッタの大発生に伴う大規模な災害。

 農作物だけでなく、紙や着物、小屋、植物性のものは全て食い尽くされる。バッタの成虫は一日で自分の体重と同じだけの量を食べ、総量一トンのバッタの群れは一日でニ五〇〇人分の食料を消費することになる。

 異様な咀嚼音は昼夜を問わず響き渡り、群れの去った後の荒れ果てた土地と、それを覆う黒い粘液は、平穏とは程遠い光景を描く。

 人々はその悪魔のような昆虫を恐れ、憎み――呪った。


 バッタ呪霊――蝗GUYは首を足のバネを活かしながら、術師を噛み殺すべく首を伸ばす。

 何度も何度も食らいつこうとするが、そのたびにちょこまかと躱されてしまう。駅の看板すら容易く破壊できるこの顎も、当たらなければ意味がない。拳を打ち出すも、それも躱された。

 だが、どれもこれも逃げてばかりだ。
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