第48章 混乱極まるラプソディ【渋谷事変】
「どうかな? ツギハギ顔を確認する前に烏がやられてしまったからね。だが、改造人間がいるということは、そういうことなんだろう。戦力を分けるのはどうかと思ったが、グズグズしていては地下四階の一般人が全滅する」
虎杖はここから【帳】を下ろしている呪霊か呪詛師のもとに向かい、冥冥たちは地下四階の直通の七番出口から降りて一般人を救出。ピンチになったときは地下四階まで降りて自分たちに救援を求めること。
「だが、欲を言えば、君と私たちが合流する頃には【帳】が上がり、一般人は解放され、地下五階での相手方の目的が判明していてほしい」
微笑を浮かべる冥冥に、虎杖は自信を持って胸を叩いた。
「大丈夫だよ、冥さん。俺はもう負けないから」
――21:03
東京メトロ 明治神宮前駅 地下2階
二番出口から降り、虎杖は地下二階へ真っ直ぐに向かった。階段を降りていくと、ボリボリという不快な咀嚼音が耳をつく。
こちらの気配か足音に気づいたのか、ソイツは「おン?」と振り返った。人間と同じ四肢を持っているが、腕は四本ある。全体的な容姿は昆虫――バッタだ。バッタの呪霊はその手に、すでに頭部を失ったスーツ姿の人間を抱えていた。
『何 見テんだヨ』
歯をむき出しにして凄んでくるバッタ呪霊。抱えた人間の手がビクビクと痙攣する様に、呪霊への嫌悪感が募る。
『オッ、オマ、オマエ! ジュジュチュ、じゅじゅちゅ、じゅっじゅっ、呪術師だろ。呪術師だろ? ナァ? 俺は賢いンダ』
噛みまくるもようやく『呪術師』と発音しながら、バッタ呪霊がこちらへ向き直ってきた。