第47章 長き決戦のオーバーチュア【渋谷事変】
――20:38
渋谷ヒカリエShinQs B1F
うじゃうじゃと仮装した人間がひしめく様を見下ろし、五条は息を吐いた。
「こりゃ ひどい」
この下を中心に、外と同じ一般非術師を閉じ込める【帳】が下りているのか。どこにも行けずに右往左往しているのだろう。
「はい、失礼」
一言 断って、五条は人波を踏みつける――と言っても、無限を使っているため、直接踏みつけてはいないが。
驚く人々の頭上を「ほいっ、ほいっ」と長い足で跨ぎ、そのまま宙を駆け上がった。吹き抜けから線路が見える階下を見下ろし、「ふむ」と一つ頷く。
「なんとなく狙いは分かったかな」
――乗ってやるよ。
近くに感じる特級相当の呪力に、五条は底冷えするほど低い声音で呟いた。
* * *