第46章 夢は終わってダ・カーポ【これからの話/宵祭り】
「大丈夫⁉︎」
京都校二年の与 幸吉――究極 メカ丸の正体。
【天与呪縛】で動けない身体だと聞いていたが……今はそれを考えるときではない。
頭部の損傷が激しい。頭蓋骨にヒビくらいは入っていそうだ。その上、右腕と左足が吹き飛び、右足も歪に変形している。
判断を間違えた!
すぐにでも【帳】を破らなきゃいけなかったのに……‼︎
いや、今するべきは後悔ではない。
間に合うか……⁉︎
「【書字具現術――『魂魄』、『結合』!」
服を力任せに引き裂き、星良は筆を素早く走らせると、呪力が与の身体を包み込んだ。
術式が発動した! まだ助かる‼︎
仮死状態でもいい。まずは肉体と魂をキツく結び、とにかく命を繋ぎ止める。
あとは、肉体の損傷の治癒――右腕と左足の欠損は物理攻撃だが、右足の変形は術式だろう。
確か、星也が肉体を変形させる呪霊と戦ったと言っていた。
もしこの場にいたのがその呪霊だったなら、与の肉体を健康体にすることも可能かもしれない。その後、仲間割れをして戦ったのか?
どちらにしても、その呪霊が相手だったとして、呪力を持つ術師の場合は、一度 触れられただけでは変形しないこともあるらしい。与の全身に及ばなかったのもそういうことだろうか?
「なら、やることは単純」
それでも、簡単ではない。
星良は札を取り出し、【斬撃】の呪符で歪に変形させられた与の右足を斬り落とす。
他者の呪力が濃くまとわりついていると【反転術式】をかけるのが難しい。相手の実力が自分より上ならなおさら。
呪力は無限ではない。仮死状態を長く保つのは不可能。
これは、時間との勝負!