第46章 夢は終わってダ・カーポ【これからの話/宵祭り】
「明ちゃん、あそこ……【帳】が下りてる」
事前告知のない【帳】に、星良は同行してくれている補助監督の新田 明と共に息を呑んだ。
歌姫から聞いたメカ丸――与 幸吉の名前で捜索をかけた。
最初は捜索に引っ掛からなかったが、何枚も捜索用の呪符を四方にばら撒くことで少しずつ場所を絞っていったのだ。
そして、呪符が指し示す方向には【帳】が……与がここにいるのはた間違いない。
近くに自動車をつけ、新田には待機していてもらう。
詞織たちが駆けつけた場所に与はおらず、そのまま引き返したという話は聞いている。それを考えれば、中に詞織たちがいるとは考えにくい。
「【帳】を破るのは得策じゃないわね」
状況が分からない以上、下手に割って入るのは危険だ。最悪、与を含め、呪詛師や呪霊が襲ってくることも考えられる。
ひとまず、術式はいつでも発動できるようにしておこうと、星良はボールペンを用意した。中のインクには呪力を含ませてある。普段は筆を使っているが、待機状態でずっと持っていては墨が乾いてしまう。
不意に【帳】が上がった。星良は慌てて手のひらに【隠形】と書いて術式を発動する。
遠目で人相などは分からなかったが、男が二人 去って行ったようだ。与の仲間だろうか。
完全に男たちが去ったのを確認し、奥へと進む。そして、自分が間違っていたことにすぐ気づき、顔を青ざめさせた。
大きな戦闘の痕跡――仲間割れだ。それも、かなり激しい。
巨大なロボが倒れ伏しているのを見て、星良は慌てて駆け寄った。ロボの頭部は赤く染まっている。出血しているのか。