第46章 夢は終わってダ・カーポ【これからの話/宵祭り】
「先天的に肉体に刻まれた“縛り”のことだ。生まれながらに強大な力を得る代わりに、何かを強制的に犠牲にしている。身近なところだと、真希さんがそうだ」
「一般人並みの呪力しか持たない代わりに、人間離れした身体能力を持つってわけね」
伏黒の説明に釘崎が補足する。その話に、「あれ?」と虎杖は詞織を見た。
「詞織もだろ?」
え、と伏黒も詞織を見る。
「ユージ、なんで知ってるの?」
「本当か、詞織?」
この反応、伏黒は知らなかったのか?
「前に星也さんから聞いた。確か、星良さんもそうだって。【陰陽術式】を使えない代わりに、派生の術式を高出力で使えるってヤツ」
「……わたし……というより、神ノ原一門の【天与呪縛】は、普通のと少し違うから、参考にならない。兄さまは先祖の安倍 晴明の【呪い】だって言ってた」
「どう違うのよ」
釘崎の問いかけに、詞織は少し考える素振りを見せた。
「神ノ原一門には五十年に一度のペースで【陰陽術式】を持つ者が生まれるとされる――でも、実際はそうじゃない。本当はもっと生まれてる。ただ、それを【天与呪縛】で差し引かれることで、高出力で派生の術式を使える。神ノ原一門は御三家に次ぐ名門と言われていた。それは、実力のある術師をたくさん排出していたから。これが、その理由」
「聞いといてなんだけど、それペラペラ喋ってよかったの? 伏黒も知らなかったんでしょ?」
「あ、あぁ……」
気まずそうな表情をする伏黒に、何となく申し訳なさを感じる。言わない方がよかったか。
「メグ、そんな顔しないで。話す機会がなかっただけ。隠してたわけじゃない。それに、神ノ原一門はもう終わってる。話しても問題ないから」
あぁ。だから 星也も教えてくれたのか。