第46章 夢は終わってダ・カーポ【これからの話/宵祭り】
「もう一人、上層部に情報を流しているヤツがいる、それが今回のターゲット。まだ容疑の段階だから、捕縛後に尋問します」
「それで、京都校の誰だったんですか?」
歌姫の話に、詞織が淡々とした口調で尋ねる。
「あたしも聞いておきたいわ。捕縛を東京側に頼むってことは、そういうことでしょ」
詞織と釘崎、すげぇな。それを教師である歌姫に直接 聞くのか。何となく気まずくて避けていたのだが。
伏黒は何を考えているのか分からないいつもの仏頂面だが、順平も緊張に顔を強張らせている。
「内通者は――……京都校二年 与 幸吉(むた・こうきち)」
「二年……? そんな人いた?」
「交流会では会いませんでしたが」
歌姫の答えに、詞織と伏黒が首を傾げた。
「いいえ。いたわ、ちゃんと。与 幸吉は究極(アルティメット) メカ丸の本体――操者よ」
痛まし気に目を伏せ、歌姫は沈痛な表情で語る。
「与 幸吉は【天与呪縛】により、右腕と膝から下の肉体、腰から下の感覚がないの。肌も月明かりに焼かれるほど脆いし、常に全身の毛穴から針を刺されたように痛むらしいわ」
「【天与呪縛】って……?」
順平が首を傾げた。そうか。順平は初めて聞くんだな。