第46章 夢は終わってダ・カーポ【これからの話/宵祭り】
「言ったでしょ、話は聞いてるって。【黒閃】――タイミングが合いさえすれば、まぐれでも発動することがあるけど……これを経験したことがあるかどうかの差は大きい」
それだけでなく、恐怖を振り切って特級相手に戦った胆力や特級との戦いに生き残った運も少なからず評価されたらしい。
大したことをしていないのに……過大評価ではないだろうか。
「順平、そんな顔しないの。少なくとも、特級と相対して生き残れる術師は多くない。これは正当な評価だよ。この業界も人手不足だからね。有望な人材を燻らせておく余裕はないんだ」
そう言いながら、五条が新しい学生証を手渡してくれる。四級呪術師であることを示す学生証が三級に変わっていた。
「ちなみに、推薦者は京都校の清貴だよ」
「清貴……? あ、式神使いの?」
一瞬 誰なのか分からなかったが、すぐに軟派な青年――垂水 清貴を思い出す。
「そうそう。本当は僕が推薦してあげたかったんだけど、受け持ちの生徒の昇級には関われないんだ。ほんと、面倒な柵だよね〜」
まぁ、そうなると不正ができてしまうからな。実力の伴わない昇級は命にも危険も関わってくるし、必要なルールだろう。
「んで、もう一個の嬉しい話って?」
虎杖が話を促すと、五条はまた「ふっふっ」と気味悪くもったいぶって笑った。
「悠仁、恵、詞織、野薔薇。それから、真希とパンダ――以上 六名に一級推薦がありました!」
「「「「……は?」」」」
順平に引き続き、ハイテンションでの報告に、虎杖たちが固まる。