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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第45章 君へ捧げるレクイエム【呪術廻戦0】


「里香」

『なぁに?』

「いつも守ってくれてありがとう。僕を好きになってくれてありがとう。最期にもう一度 力を貸して。アイツを止めたいんだ。その後は何もいらないから。僕の未来も、心も、身体も、全部 里香にあげる。これからは本当にずっと一緒だ」



 ――愛してるよ、里香……一緒に逝こう。



「まさか……やめろ、憂太‼︎」

 ちゅ、と乙骨が里香に口づける。

『あっ……あぁ……あああ、ああぁ、ああああぁ、ああぁ……ッ』

 里香がガクガクと身体を震わせた。そして――……。


『憂太! 憂太ァッ‼︎ 大大大大大好きだよぉ‼︎』


 ブルブル、ガクガクと狂喜の叫び声を上げる。

 自らを生贄とした呪力の制限解除により、空気を塗り替えるほど――いや、そんなレベルではない。

 空気を塗り潰す、染め上げる、冒す――もはや、支配といっても過言ではない。

 呪術師として、幼い頃から戦場に身を置いていた。強い呪霊とも何度も戦った。だが、目の前の呪霊は――里香は、今まで見てきたどんな呪霊よりも強い。

 星也自身が『恐ろしい』と、気後れするほど圧倒的。

「そうくるか! 女誑しめ‼︎」

「失礼だな。純愛だよ」

 里香が口にエネルギーを溜め始めた。

「ならば、こちらは大義だ」

 乙骨の里香と、夏油の『うずまき』、二つの力がぶつかる。星也はとっさに【太裳】に自身を守らせるも、その衝撃は【太裳】の身体ごしにビリビリと感じられた。

 砂塵が晴れ、ゆっくりと瞼を開ける。パラパラと細かな瓦礫が擦れる音が聞こえた。
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