第45章 君へ捧げるレクイエム【呪術廻戦0】
「星也さん……」
「無事でよかった」
それとなく乙骨を背後に庇い、星也は【天枢】を構えた。
「星也君……京都に特級術師がいると報告を受けていたが、君だろ。まさか、この短時間でここまで来たのか。悟に言われたのかな。相変わらず、君には厳しいみたいだね」
「おかげさまで、毎日 しごかれてますよ」
今の呪力で正の呪力を使う術は無理だ。すぐに呪力切れを起こす。できるだけ呪力効率のいい言霊や符術、もしくは十二天将で叩く。
「憂太。夏油さんの言う通り、僕はあまり呪力が残っていない。フォローをするから、任せた」
「分かりました――合わせろ、里香」
ジリ…と里香が動くと、夏油も三節棍をジャラリと構えた。
「人は食物連鎖の頂点に立ち、更に高位の存在を夢想し、『神』と呼んだ。おかしいと思わないか? 夢想せずとも、我々 呪術師がいるというのに」
乙骨が地面を蹴り、夏油に迫る。乙骨の刀を三節棍で弾き、夏油は身を逸らして躱した。そこへ里香が巨腕を振るい、夏油を弾き飛ばす。
――今だ。
「【雷帝神勅――急々如律令】‼︎」
バチッと爆ぜた雷が夏油を襲うも、呼び出した呪霊が盾となり、夏油を守った。消滅する呪霊に、舌打ちしたくなる。
やはり、強い。同じ特級といえども、さすがにレベルが上だ。
「結局 猿ども(非術師)は、自分より秀でた存在から目を背けたいだけなのさ」
乙骨が刀を持って夏油に斬りかかったが、彼は三節棍で受け止めた。