第44章 決戦のアッチェーソ【呪術廻戦0】
「じゃあ、僕は行くね」
死ぬなよ、とはあえて言わなかった。彼らを信頼してのことだ。
頭を下げる加茂を置き、星也は【白虎】の背に乗ったまま上空へと飛ぶ。
「こんな長距離に使ったことはないけど……」
そもそも、長距離の瞬間移動は五条の専売特許だろう。
星也にもそれらしいことはできるが、呪力の消費も激しいし、失敗するリスクから基本的に使わない。
だが、今回はそうも言っていられないか……と考えるのは諦め、星也は智慧印を結ぶ。
「【金剛界の諸尊、大日尊に帰依し奉る。金剛の如き揺るがぬ智慧を持つ者、汝は神羅万象を知る日輪の化身。我と彼の地を繋ぎ、勝利をもたらさん。その優れたる智慧を以て、諸願成就を為したまえ――オン・バザラ・ダト・バン】」
カッと太陽にも似た眩い光が生まれ、次の瞬間、星也の姿は京都から消えていた。
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