第44章 決戦のアッチェーソ【呪術廻戦0】
「星也さん……ありがとうございます」
「大丈夫か、憲紀?」
えぇ、とやや青い顔ながらも頷く加茂に、星也はホッも安堵の息を吐いた。
二級以下を間引いたとはいえ、術師への負担はそこまで減らないか。
雑魚を気にしなくていいだけマシかと思ったが、それは準一級以上と渡り合える術師のみ。二級以下は格上の相手をしなければいけない分、負担は大きいだろう。
ジリジリと迫ってくるのは準一級が四体、一級が五体、特級三体。
「援護を」
「いらないでしょ。星也さんは特級よ。むしろ足手纏いじゃない?」
三輪が刀を抜こうとするが、真依が呆れたように肩を竦める。
「だガ、いくら特級とはいえ数が多いのでハ?」
「いや、いいよ。少し休んでいるといい」
星也は【天枢】を棒状に伸ばして構え、跳躍した。
【青龍】から【白虎】に乗り換え、地上を駆ける。【天枢】を打ち据え、一番 手前の準一級を祓う。さらに襲いくる呪霊を踏み台に跳躍した。
「【このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに】」
ゴォォォッと呪いを燃やす神の炎が残りの三体の準一級呪霊を祓う。
息を吐く間もなく、特級呪霊が呪力の衝撃波を放ってきた。それを【観音菩薩】の災難除去の真言で防ぎ、呪符を飛ばす。バチッと爆ぜた稲妻が呪霊を捕らえた。
星也は【天枢】を剣に切り替え、呪霊の首を斬り落とす。