第44章 決戦のアッチェーソ【呪術廻戦0】
「今までどこに行ってたんだ、東堂――……」
東堂の後ろから大きな咆哮を上げて呪霊が追いかけてきている。
「な、なんだ、あの呪力は……!」
一級……いや、特級レベルの呪力。
だが、まだ驚くのは早かった。
「おーい! 加茂っち~‼」
――京都校二年 一級呪術師 垂水 清貴
「垂水⁉」
垂水の後ろからも、東堂を追いかけてきた呪霊と変わらない凄まじい呪力を持った呪霊が追いかけてきていた。
「東堂、垂水! ソイツらは危険だ! 一人で突っ込むな! すぐに応援を――……」
しかし、加茂の指示を聞くような二人ではなかった。
「二〇時からのトーク番組! クリスマス特別生スペシャルに……高田ちゃんが出るっ! こんなところでもたついてられるか!」
――京都校二年 一級呪術師 東堂 葵
「ボクも夜は女の子とクリスマスデートの約束があるから、早く終わらせたいんだよね。あの特級のお兄さんが雑魚を間引いてくれて助かったよ。思ったより早く片づきそうだ」
あまりに身勝手な理由に三輪は加茂や真依と呆れて物も言えない。言うや否や、東堂と垂水は自分を追いかけてきた特級呪霊へ向かって行った。
『加茂くん! 六時の方向から、さらに十体以上の呪霊が接近!』
「全員 迎撃態勢を敷け!」
クッと加茂が息を呑み、全員に号令を出す。銃や武器を構える真依たちと共に、三輪も六時の方向へ刀の切っ先を向けた。
* * *