第43章 それはとんでもないトロイメライ【呪術廻戦0】
「わー、でっかい鳥」
「関係者……じゃねぇよな」
「見ない呪霊だしな」
「すじこ」
緊張感のない乙骨に対し、真希は呪具である槍を取り出して構え、パンダは首を鳴らし、狗巻は口元を覆う布を下げた。
「変わらないね、ココは」
僧侶のような男が辺りをキョロキョロしている隣で、ペリカン呪霊のクチバシからぞろぞろと人が降りてくる。
女子高生二人と上半身裸の男(?)だ。
「うぇ〜……夏油様ァ、本当にココ 東京ォ? 田舎臭ァ」
――呪詛師 枷場(はさば) 菜々子
「美々子……失礼……」
――呪詛師 枷場(はさば) 美々子
「えー……美々子だってそう思うでしょ?」
「んもう! さっさと降りなさい!」
――呪詛師 ラルゥ
いつまでもクチバシの中から降りない少女を男(?)が急かす。
「アイツら……何……?」
「あー! パンダだー! かわいい!」
人形を抱えた黒い髪とセーラー服の少女がこちらを見てきた。その視線を追って、シャツにニットの制服を着た明るい髪色の少女がパンダにカメラを向ける。
姉妹なのか、印象はだいぶ違うが顔の造作はとても似ている。
「オマエらこそ何者だ! 侵入者は憂太さんが許さんぞ!」
「こんぶ!」
「えっ⁉︎」
いきなり自分の名前を出して威嚇し出したパンダと狗巻に乙骨は思わず声を上げる。
「憂太さんに殴られる前にさっさと帰んな!」
「えぇっ⁉︎」
真希も声高らかにパンダに続いた。
「始めまして、乙骨君。私は夏油 傑」
「えっ、あっ……初めまして」
気がつくと手を取られ、僧侶の男――夏油と握手していた。
「「速い!」」
真希とパンダ、声には出さないが狗巻の息を呑む気配が伝わる。