第43章 それはとんでもないトロイメライ【呪術廻戦0】
「猿にはね、それぞれ役割があります」
金を集める猿と、【呪い】を集める猿。金森は前者だ。
「お金がないなら用済みです」
「ふざける、んっ⁉︎」
パチンッと指を鳴らすと、金森の顔が不自然に歪んだ。彼に憑けていた唇の長い呪霊が、一斉に顔に吸いつく。
やがて、呪霊が肉や血を啜り、金森は原型を止めることなく血を撒き散らして死んだ。
「穢らわしい。本当に同じ人間ですか?」
「だから言っているだろう? 非術師(かれら)は猿だ」
汚物でも見るように眉を顰める真奈美にそう言って、夏油は会議室へ向かい、扉を開く。
「時が来たよ、家族たち」
五人の男女が揃う中心まで足を運び、彼らをぐるりと見渡した。
「猿の時代に幕を下ろし、呪術師の楽園を築こう」
まずは手始めに、呪術界の要――呪術高専を落とす。
夏油の話に、彼らは決然とした表情で頷いた。
* * *