第43章 それはとんでもないトロイメライ【呪術廻戦0】
沈む夕日が差し込む廊下で、五条は日下部と一緒に、伊地知から乙骨と狗巻が行った任務の報告を受けていた。その場には星也、七海、灰原の姿もある。
「申し訳ございません。全ては私の不徳の致すところ。なんなりと処分を」
――補助監督 伊地知 潔高
「いや、いい。相手が悪過ぎた」
頭を下げ、気の毒なくらいに顔を青ざめさせる伊地知に、五条は短く言葉を投げかける。
乙骨と狗巻が行ったのは、低級呪霊の群れの祓除。本来なら狗巻だけで事足りる任務。
それが、伊地知の張った【帳】の上から二重に【帳】が下され、さらに準一級の呪霊が現れた。
「ま、過ぎたことは言っても仕方ねぇだろ。二人とも無事だったんだ。優秀な生徒たちで助かったよ」
棒付きのキャンディを転がしながら、日下部が慰めるように伊地知の肩を叩く。
「乙骨君がサポートに入っててよかったね!」
「いえ 灰原さん、おそらく逆です。乙骨くんも任務に参加していることを知って仕掛けたんだと思います」
「私も星也君と同じ見解です。準一級の呪霊をけしかけ、【折本 里香】を顕現させ、その力を見ようとしたのでしょう」
星也と七海の推測は、おそらく間違っていないだろう。五条も同意見だ。
乙骨たちが任務で行った商店街にも足を運んだが、夏油の残穢が微かだが残っていた。