第43章 それはとんでもないトロイメライ【呪術廻戦0】
「五条先生」
「傑は⁉」
珍しく慌てた様子の五条に、星良は静かに首を振る。
「そうか……何か言ってたか?」
「乙骨 憂太に憑いている特級呪霊【折本 里香】を見に来たと言っていましたね」
「あとは、星良ちゃんの勧誘かな?」
いや、あれは自分を勧誘していたのではなく、星也を引き込むためのものだ。それは五条も気づいたのか、「あのときの……」と小さく零す。
「星良たちは大丈夫だった?」
「はい。去り際に一級呪霊を二体 けしかけられましたが、もう祓いましたので」
そうか、と安堵の息を吐くと、五条は踵を返した。
「五条さん、夏油さんは……」
七海の言葉に「分かってる」と五条が短く返す。
「アイツ、何か始める気だ」
五条の固い声音に、星良はゴクリと息を呑んだ。
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