第42章 鮮明なリバーブ【呪術廻戦0】
「得物に呪いを込めるなら扱いを覚えなきゃいけない。刀なら日下部さんが教えられるからちょうどいいでしょ。徹底的にシゴいてやってよ」
「俺がそんなキャラに見えるか?」
アドバイスはしているようだが、もっぱら真希がシゴいていそうだな。
やがて、狗巻とパンダが休憩にやって来た。
「お、悟に星也。来てたのか」
――呪術高専一年 三級呪術師 パンダ
「やっほー」
「棘、パンダ。久しぶりだね」
「しゃけ」
――呪術高専一年 二級呪術師 狗巻 棘
軽く挨拶を交わし、乙骨に視線を戻す。そこでは、真希に一本を取られるもめげることなく、「もう一本お願いします!」と刀を構える乙骨の姿があった。
「いいね。素人に毛が生えたレベル……でも、かなり動けるようになってる。それに、最初の頃と比べて、性格も前向きになったねぇ」
「すじこ」
しみじみとした五条の言葉に狗巻が同意を示す。
「解呪っていう目に見えて大きな目標があるのもいいのかもな。俺がなーんもしなくてもパンダたちが面倒見てくれるし助かってるぜ」
「そんなこと言ってぇ〜、日下部さん、昨日 憂太の稽古に丸一日つき合ってたじゃん」
「生徒に頼まれたら断れないでしょーが。真希も狗巻と任務だったしな。パンダじゃ刀 教えられないだろ」
日下部が五条に苦い表情をした。
高専に入学する前、何人かで連れ立って行った合同任務に日下部と参加したが、そのときも呪霊の攻撃から庇ってもらったことがある。
命の危険がある任務には消極的なのに、人のために身体を張れる――この人はやはり教師で、呪術師なのだ。
「それにしても、真希も楽しそうだ」
「しゃけ」
パンダの指摘に、星也は乙骨から真希に視線を移動させる。言われてみると確かに楽しそうにも見える。