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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第42章 鮮明なリバーブ【呪術廻戦0】


「やぁ、日下部さん。憂太の様子どう?」

「ま、筋は悪くねぇ……が、まだまだ素人に毛が生えたレベルだな……って、星也も一緒か」

「お久しぶりです、日下部さん」

 頭を下げると、日下部が手を上げて応じてくれる。

「そういや、乙骨の刀は神ノ原一門の所有だったな。よかったのか? なかなかの業物だろ、アレ」

 さすが、刀を得物として使っているだけあって、目利きは抜群だ。

 普段からあまり覇気が感じられず、気だるげな空気を出しながら棒付きキャンディを食べているおじさんにしか見えないが実力は本物だ。

 それも、【領域展開】から身を守ることも可能な結界術【シン・陰流 簡易領域】の使い手ではあるが、生得術式を持たずに一級まで昇級した術師。あの現代最強の呪術師である五条 悟も一目置く存在である。

「構いません。置いていても埃を被るだけですし、自分が必要な分は持っているので」

 そう言って、星也は懐から伸縮式の棒の形をした愛用の呪具【天枢】を取り出した。

「【折本 里香】ほどの大きな呪いを祓うのはほぼ不可能。だが、“解く”となれば話は別だ。憂太もいい着眼点だったね」

「解呪なら星也がやってやれば早ぇんじゃねぇのか?」

「あの手の呪いは根本――つまり、呪霊を祓う以外に解呪の方法はありません。あとは、呪われている本人にしかできないやり方ですが……何千何万もの呪力の結び目を読み、一つずつ解(ほど)いていく方法。気が遠くなるような話ですが」

 そう話すと、日下部が「なるほど」と頷く。

「それで刀ってわけか」

 呪いは物に憑いているときが一番安定する。星也が初めて乙骨と会った日、彼は指輪を通して【折本 里香】と繋がった。つまり、パイプはできている。

 あとは【折本 里香】の呪いを乙骨が貰い受け、刀に込めて支配する。繰り返し量を増やし、全てを手中に納めることができれば解呪は達成というわけだ。
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