第42章 鮮明なリバーブ【呪術廻戦0】
「星也さん、どうしたんですか?」
「あ~ぁ。星也の悪いクセ。仕方ないな」
椅子から立ち上がり、身を乗り出した星良がガシガシッと頭を撫でてくる。
「姉さん、もう子どもじゃないから。こういうことは……」
「あらあら。子どもじゃなくても弟でしょ」
同い年だろ。双子なんだから。
でも……もやもやした気持ちが凪いでいく。
「津美紀、腹減った」
「わたしも」
「うん、そうだね。じゃあ、二人とも手伝って」
はーい、と詞織が返事をして、伏黒が皿を準備し始めた。
「星也、何かあった?」
「何もないよ。あぁ、そうだ。姉さんは任務で出張だったから知らないだろうけど、一年に編入生が来てる。特級被呪者のね」
「特級被呪者……詞織と同じ?」
「そう。それを特級術師として編入させたんだ。五条先生が」
死刑を撤回させてまで。
昴流に声を掛けたのも、監視の目的でもあるのかもしれない。同じ特級として、何かあれば対処しろと言っているのだろうか。憶測でしかないが。
「じゃあ、何かあったら助けてあげて」
でも、こんなこと言わなくても、あなたはほっとけないよね?
「……姉さん……」
「そうだ、星也さん!」
目の前にカレーが用意されると同時に、津美紀がキッと眉を吊り上げていた。
「今日、恵がまた騒ぎ起こして! 学校のゴミ置き場に同級生と上級生をまとめて押し込んじゃったんです!」
「う……」
ス…と伏黒が目をそらす。
「もう……恵、今度はなんで?」
「ゴミをゴミ置き場に片づけただけです」
カレーを食べながら星良の問いに伏黒が淡々と答えると、「違う!」と詞織が反応した。
「わたしが……わたしのせいだから……メグは悪くない……」
なるほど。最初に巻き込まれたのは詞織か。
また無茶をしたな。