第42章 鮮明なリバーブ【呪術廻戦0】
早朝――どういうわけか、星也は五条と共に総監部に呼び出しを受けていた。
薄暗い室内で、何枚もの障子の扉越しに敵意のある視線が五条と星也に刺さる。
「特級過呪怨霊【折本 里香】――四二二秒の完全顕現。このような事態を防ぐために乙骨を君に預けたのだ」
なぜ自分まで――……ついて行ったというか、つき合わされただけだというのに。
「申し開きの余地はないぞ、五条 悟」
「まぁ、元々 言い訳なんてするつもりないですし」
「神ノ原 星也。君が一緒にいながら、なぜそんな事態になった?」
「自分はこの方のお目付け役ではありませんので。それに、自分程度が五条さんを止められるわけありませんよ」
頭を掻きながら五条が慇懃無礼に返事をする隣で、星也も嘆息する。
「何をふざけている! 【折本 里香】があのまま暴走していれば、町一つ消えていたかもしれんのだぞ!」
「そうなりゃ 命懸けで止めましたよ。そのために星也を連れて行ったんだし」
え……万が一のときは自分にやらせるつもりだったとか言わないよな。
特級過呪怨霊【折本 里香】――五条が調査を進めているが、分かっているのは一つだけ。
『出自不明(わからない)』――術師の家系でもない女児の【呪い】がどうしてあそこまで莫大なものになったのか。
得体が知れない。祓えるなら祓った方がいいと思うが、あの呪霊を祓うことはほぼ不可能。
可能性があるとしたら五条だろうが、彼にその気はない。