第41章 青き春はドレンテにひび割れて【玉折】
『――【神ノ原 詩音は神ノ原 星也にこの力を捧げます】』
ブワッと立ち昇る呪力が星也に呑み込まれていく。【陰陽術式】による【力の誓約】か。呪力を持って交わした誓約は、受けた側が解かない限り続く。
さらに、星也は詩音の額に触れ、反対の手で印を結んだ。
「――【内なる力を閉ざし、この言葉を以て封を為せ。急々如律令】」
キィンッと詩音の額に印が刻まれ、静かに消える。同時に糸の切れた人形のように項垂れた。
「随分とギチギチに縛ったな。この呪力量じゃ、ギリ特級に届かないぞ」
「いいんですよ、これで。あまり強すぎては目に留まる」
まぁ、そうだろうな。特級被呪者というだけでも保守派はいい顔をしない。
力の枷を二重にしたのは、詞織が詩音の“縛り”を解いた際の被害が大きくなり過ぎないように。
「詞織を守るための詩音なんじゃねぇの?」
「違うとはいいませんが、それは詞織が強くなればいい」
「なるほどね」
詞織の縄を解き、星也が優しい手つきで頭を撫でる。
「星也。俺……いや、僕さ、教師になろうと思うんだけど」
「は? 教師?」
珍しく目を丸くする星也に、五条はククッと肩を震わせて笑う。