第41章 青き春はドレンテにひび割れて【玉折】
「非術師 殺して、術師だけの世界を作る⁉︎ 無理に決まってんだろ! できもしねぇこと セコセコやんのを意味ねぇっつーんだよ‼︎」
すると、「傲慢だな」と夏油が冷たい声音で言い放つ。
「君にならできるだろ、悟」
ビクッと身体がこわばった。
確かに、できる。国中の非術師を殺してしまうことが。
「自分にできることを、他人には『できやしない』と言い聞かせるのか?」
君は五条 悟だから最強なのか?
最強だから五条 悟なのか?
問いを重ねる夏油に、「何が言いてぇんだよ」と押し殺した声で聞き返す。
「もし私が君になれるのなら、この馬鹿げた理想も地に足がつくと思わないか?」
夏油は本気だ――言っていることは正気とは思えないが、本気で世界を変えようとしている。
「星也君」
不意に名前を呼ばれ、ずっと沈黙していた星也の夜色の瞳が静かに夏油へ向いた。
「私と一緒に来ないかい? 君もこちら側の人間だろ。非術師が術師を壊す。こんな世界はおかしいと、君も分かっているはずだ」
五条は星也を振り返った。
まさか、コイツまで離反したりしねぇよな⁉︎
ドクドクと焦る心臓を持て余していると、星也は微かに目を伏せた。