第41章 青き春はドレンテにひび割れて【玉折】
新宿に到着した五条は、すぐにサングラスを外し、雑踏へ目を向けた。呪力を持つ者、持たない者、中には術師もいたが、夏油の呪力は追えない。
「クソッ! おい、星也! つけて来てんのは分かってんだよ! 出て来い‼︎」
声を荒げる五条に道行く人が怪訝な表情で遠巻きに見てくるが、気にしてはいられない。やがて、ため息と共に星也が五条の背後に立った。
「……隠形の術を使っても、【六眼】の前では無意味ですね。学びました」
小さな肩を掴み、五条は星也を見下ろす。
星也が自分を尾行していたのは、おそらく夜蛾の指示だろう。自棄を起こさないようにするための見張りだ。
「傑のことは聞いてんな? すぐに探せ。できんだろ」
「……分かりました」
ただ、と星也は続け、夜色の瞳で見上げてきた。
「僕の要求も聞いてもらえますか?」
「あぁ?」
キッと睨みつけるが、星也は動じない。
見返りなんて求めるヤツじゃない。それなのに、なんで今日に限って。
「あなたにやって欲しいことがあります。あなたにしかできない。もう、あまり時間がないんです。叶えてくれるなら、すぐにでも夏油さんを探します」
何を要求したいのかは分からないが、星也のことだ。この様子からしても、かなり切迫している。