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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第40章 正しさに混ざるノイズ【玉折】


「呪力を完全に捨て去ることで、肉体は一線を画し、逆に呪いの耐性を得たんだよ、彼は。正に超人――負けたことは恥じなくていい」

 ビクッと反応してしまったのは仕方がないだろう。

 当時 手持ちの呪霊でも最高硬度を誇っていた虹龍を、呪具を持っていたとはいえ素手で斬り裂き、口裂け女の問いに答えていながら攻撃を捌き切った。

 それも、数百年ぶりに生まれた【無下限呪術】と【六眼】を併せ持つ、最強に至れる呪術師――五条 悟を倒した後で。

 連戦――自分は二人目。けれど。手負いの様子もなかったし、疲労の様子も感じられなかった。

 手慣れていた。“術師殺し”――その異名にも納得だ。

 呪力を持たない非術師のくせに、呪力も術式も持つ呪術師を殺すのだから。


 ――ふざけている。


 ギュッと震える拳を握りしめる。

 九十九は甚爾を研究しようとしたらしいが、断られたらしい。惜しい人を亡くした、と軽い調子でつけ加えた。

「【天与呪縛】はサンプルも少ないし、アタシの今の本命は②だね」

 確かに、【天与呪縛】は珍しい。

 星也に聞いたが、【天与呪縛】といえば、星良もそうらしい。
 神ノ原一門には、【陰陽術式】を使えない代わりに、高出力で派生の術式を使える術師が生まれる。

【天与呪縛】を持って神ノ原に生まれることは珍しいが、【陰陽術式】と【天与呪縛】によって高められた派生の術式が神ノ原に栄誉をもたらした。

 本来は口外してはいけないようだが、秘密主義の神ノ原一門はすでに壊滅している。話したところで困りはしないと教えてくれた。

 それと、現在 禪院家にいる一卵性の双子の姉妹。妹は術式を持つが呪力が少なく、姉は【天与呪縛】によって呪力が一般人並で、呪霊も視認できないと聞いたことがある。
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