第39章 覚醒するモジュレーション【壊玉】
「……助かるよ。君がいてくれてよかった」
いつもとは違う、どこか頼りない様子の夏油を安心させるように、星也は微かな笑みを浮かべた。
「【闇に失せし者、月に隠れし者、星に紛れし者。この名を縁(よすが)とし、我に汝の行き先を示せ。急々如律令】」
札が反応を示す。反応も決して弱くない――ということは、五条が生きている証拠だ。
「空を行きましょう。呪霊を呼べますか? 僕は姿が見えないよう術をかけます」
「あぁ」
呪霊は一般人に見えなくても、自分たちの姿は見える。空を行く以上、注意をしなければならない。
ちなみに、星也の呪力は先の占と隠形の術ですっからかんである。
星良にもらった【守護】の札があるから身を守ることはできるが、もし【盤星教】で戦闘ということになったら、戦力としては役に立たない。
「傑、星也……頼んだぞ」
「怪我したら診てやるから、ここまで帰って来いよ」
夜蛾と家入に頷き、星也は夏油と共に五条のもとへ飛ぶ札を追いかけた。
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